米長期金利の急騰にドルも追随か?ドルインデックスの動向に注目(2021年1月11日)

市況解説

2021年最初の取引日となった先週は、各国の株式市場の上昇が話題となった一方で、為替市場は小動きでスタートしました。

しかし株式市場の上昇とともに、それまで1%目前の水準に留まっていた米10年債金利が1%を超えるなどの上昇を見せています。

米長期金利の上昇を受けて今後ドルの上昇が進むのか、今週はドルの各通貨の対する相対的な強さを表すドルインデックスの行方が注目されます。

一時104円を回復したドル円

102円台で取引が開始された2021年のドル円ですが、メディアなどではドル安予想の多い中で先週は反発しており、8日(金)には一時104円を回復する上昇を見せました。先週は103.9円台で取引を終えて、12月後半の水準を上回る値位置で取引を終えました。ドル円は12月後半に下落が進みましたが、2021年は昨年末の下落を取り返す形で取引が開始されています。


・ドル円の月足チャートに200EMA

株式市場の急騰でスタートした株式市場、一方で米長期金利は上昇

2021年第1週は為替市場よりも世界的に株価上昇が注目される週となりました。米国市場は主要3指数が揃って市場最高値を更新。また日経平均も約30年ぶりに28,000円に到達しており株式市場は絶好調です。

株式市場の上昇は米ジョージア州の上院決選投票で民主党の勝利により、上下両院での民主党の多数が決定されたことで、バイデン政権下での大型経済対策実現への期待感が背景となっています。


・日経平均の月足チャート
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米長期金利が上昇、10年債は1.1%台に突入

昨年11月以降、1%台を目前に上昇が足踏みしていた米10年債金利が先週は急騰しています。1%を突破するのみならず8日(金)には1.1%台を回復しました。


・米10年債金利の日足チャート(画像はTrading View)

バイデン政権下での大型経済対策実現への期待感の反面、米財政悪化が懸念されており、債券市場が債券安(金利高)で反応を見せている形となっています。米長期金利とドルは長期的には相関する値動きを見せますが、実際に先週は、ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスが長期金利の上昇とともに上昇しており、安値圏で反発する形となりました。

米10年債金利チャートを見ると急激な金利上昇を見せており、金融市場としては年初の急速な株高と合わせて昨年末からの相場構成に変化が現れており注意が必要です。

ただしFRBは現状の金融政策での債券購入は継続するスタンスのため、長期金利の上昇にも限界があり、急速な長期金利の上昇はいずれ止まる可能性が高いといえます。

一旦ドルは反発か、ドルインデックスはフィボナッチ・リトレースメント88.6%で反発モードに

昨年末ドル安が進み、ドル円も静かな下落が進みました。ドルインデックスは昨年11月から下落が続きましたが、フィボナッチ・リトレースメント88.6%に12月末にタッチしました。そして先週は6日(水)に一旦安値を更新しましたが、翌7日(木)に反発しており底割れはしていません。リトレースメント88.6%の攻防が継続中です。


・ドルインデックス週足チャートにMonthly Sweet Band
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ただし米10年債金利が上昇という周辺市場の状態と反発しやすいフィボナッチ・リトレースメント88.6%の値位置というラインの判断から、今後のドルインデックスは上昇の可能性が高い状態にあると考えられます。

まとめ

2021年早々、各国の株式市場は大きく上昇していますが、為替市場はそれ程値動きを見せていません。しかし米長期金利が上昇しており、金融市場に変化の兆しが生じています。

米長期金利の上昇の一方でドルインデックスは安値圏での攻防を続けており、今後ドルインデックスが長期金利の上昇に追随する形で上昇するのかという点が、今後のドル円の行方を占う上で重要となります。ドルインデックスの今後の行方が注目されます。(事務局)

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