104円割れのドル円の下落は一時的か?米長期金利は高水準を維持(2020年11月9日)

市況解説

民主党バイデン候補が勝利宣言を行いながらトランプ大統領も敗北宣言を行わず、結果が確定しない米大統領選ですが、ドル円は11月5日に104円を割れて103円台に突入しました。これまで強いサポート&レジスタンスとして機能していた104円台を割れましたが、ドルに影響を与える米長期金利は一旦下落したものの再度上昇しています。

今後のドル円の行方を探る際は、ドル円本体のみならず米長期金利やドルインデックスの値動きにもより注意が必要となりそうです。

米大統領選の開票を巡る混乱の中でドル円は104円割れに

11月3日の米大統領選は民主党バイデン候補が有利と報じられていましたが、フタを開けてみればトランプ大統領は粘り腰を見せました。バイデン候補は勝利宣言を行いましたが、トランプ大統領は法廷闘争にも打って出ています。

そして米大統領選の開票を巡る混乱が続く中で、ドル円は5日(木)に104円を割れて103円台に突入しました。また翌日6日(金)も下落が続き、7月や9月のような104円台前半での反転は今回生じていません。


・ドル円日足チャートにMonthly Sweet Band
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2020年のドル円はコロナショック時に一時的に101円台前半まで下落しましたが、今回の下落はコロナショック時に続き2度目の104円割れとなっています。


・ドル円月足チャート

ドルインデックスの下落がドル円の下落の背景に

8月末に91ポイント台半ばで底打ちしたドルインデックスですが、その後は反発しながらも値動きとしてはレンジ相場が継続中です。9月の小幅上昇・10月は横ばいの後に若干の上昇、という値動きで推移しましたが、11月はレンジの中を下落しています。また10月末にレンジ相場の上限付近に位置していたドルインデックスは、ほぼ1週間でレンジ相場の下限付近まで下落しており、ドル円の下落はドルインデックスの下落を受けた値動きとなりました。

ただし下落したもののドルインデックスは8月の安値は更新しておらず、またMonthly Sweet Bandの観点でもまだ下値余地が残されています。よってドル円も更に下落する可能性があります。


・ドルインデックス日足チャートにMonthly Sweet Band

米長期金利は一旦下落も再度反発

米大統領選を控え10月の金融市場は全体的にレンジの値動きが目立ちましたが、米10年債金利は0.6%台で10月の取引が開始されたものの、11月3日には0.9%台まで上昇しました。

米長期金利とドルは相関する値動きを見せる傾向にあるため、米長期金利の上昇を受けてドルインデックスはレンジ相場の中で10月後半に上昇しました。

しかし米大統領選翌日の11月4日に米10債金利は0.7%台に下落。翌日も反発することなく、米大統領選を契機に反落するかに見えました。しかし6日には再び上昇して0.8%台を回復しており、10月に上昇した水準の維持がなされています。


・米10年債金利日足チャート(画像はTrading View)

米大統領選と同時に行われた議会選において上院は共和党勝利の可能性が高く、民主党バイデン大統領が誕生した場合も大統領選後に予定される経済対策は、小規模に抑えられる見込みが高まっています。

米金融市場は民主党が大統領選と議会選で完全勝利の場合、大規模な財政支出により大幅な財政赤字を懸念していました。しかしその懸念は上院での共和党勝利の見込みにより低下しており、それを受けての6日の金利上昇ともいわれています。

米長期金利の上昇に比べドルは売られ過ぎの可能性も

10月後半はドルインデックスの上昇が見られましたが、米長期金利の上昇に比べるとその上昇は限定的といえる状態でした。

またドルインデックスは11月に入り急落しましたが、米長期金利は11月4日に下落したものの6日に反発しており、ドルインデックスもいずれ反発する可能性があります。

また現在104円を割れているドル円ですが、米長期金利やドルインデックスの状況から見ると、ドルインデックスの反発がなされればドル円も104円を回復する可能性が残されています。

ドル円は今後更に下落が続くのか、という点はドルインデックスや米長期金利といった周辺市場の状況を見ながら考える必要があります。ドル円本体に加え、ドルインデックスや米長期金利などの周辺市場がより注目される11月となるのではないでしょうか。(事務局)

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