上昇はMonthly Sweet Bandのある105円台半ばが限界か?しかし米長期金利からは更なる上昇余地も(2020年11月16日)

市況解説

製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの開発進展が報じられたことを契機に、ドル円は103円台から105円台まで急騰しました。

ドル円の急騰は円売りが背景にありますが、米長期金利から見るとドルの上昇余地が残されています。

105円を回復したドル円は更なる上昇を見せるのか、それとも再びレンジの動きに戻るのか、という点が今後まずは注目されます。

ファイザーのコロナワクチン開発報道でドル円が105円台半ばまで急騰

11月6日の金曜日時点では、米大統領選で民主党バイデン大統領の誕生がほぼ決まるなかで、ドル円は103円台前半まで下落が進み、翌週に103円割れとなるかが注目を集めていました。

しかし週明けの9日(月)、製薬大手ファイザーによる新型コロナウイルスのワクチン開発進展報道を契機にドル円は急騰。既に東京時間に103円台半ばまで上昇していましたが、ファイザーの報道を機に急騰し105円台半ばを回復しました。

しかし105円台半ばのMonthly Sweet Bandに頭を抑えられる形となり反落。11日(水)にも105円台半ばまで上昇しましたが、12日(木)・13日(金)は2日続けての下落により、最終的に104.6円台で先週の取引を終了しました。


・ドル円日足チャートにMonthly Sweet Band
関連記事:Monthly Sweet Bandならエントリーしてはいけない場所が分かる、トレードに月単位での値位置の視点を

低迷続くドルインデックス、ドル円の上昇は円の下落が背景

先週ドル円は105円台半ばまでの急騰を見せましたが、ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスは大きな値動きを見せていません。ドルインデックスは7月から92~93ポイント台を中心とするレンジ相場が継続しています。11月に入りレンジ上限から下落する値動きを見せる中で、先週戻しを入れる上昇となりましたが、レンジ内の値動きであり小幅な値動きに留まっています。


・ドルインデックス日足チャート

よって9日(月)のドル円の急騰は円の急落を背景に発生しており、ドル円以外のクロス円通貨も9日(月)は急騰しています。


・円インデックス日足チャート(画像はTrading View、以下同様)

尚、先週の円下落の恩恵を最も受けたのは国内株式市場といえ、日経平均は先週25,000円を二十数年ぶりに回復しました。ただし今後日経平均が25,000円回復で上昇を終了し下落に向かうと、日経平均↓+円↑となり、円が買われ円高に進みやすくなります。


・日経平均月足チャート

ドル上昇を受けたドル円上昇に対する警戒が必要

ドルインデックスから見るとドルは9月以降レンジを形成しており、大きな値動きをみせていません。しかしドルと相関する値動きを見せる傾向にある米長期金利は8月を底に上昇を続けています。10年債金利は10月に0.9%台を回復した後、米大統領選でバイデン勝利の可能性が高まった際に一時0.8%台まで下落しました。しかしその後急回復し、再び0.9%台に戻しています。


・米10年債金利日足チャート

ドルインデックス低迷の一方で米長期金利は上昇を続けており、今後ドル上昇によりドルと米長期金利の値ザヤが埋まる可能性があります。その際にドル円は上昇する可能性が高く、ドル円は今後もう一段の上昇を見せる可能性を残しています。

米大統領選はバイデン大統領の誕生がほぼ決まりました。また新型コロナウイルス問題もワクチン開発に目処がつき始めており、様々な混乱があった2020年の混乱も終了を迎えつつあるように見受けられます。

今後のドル円は再びレンジの値動きとなるのか、それともドルの上昇が生じ更に上昇することになるのか、という点がまずは注目されます。

また日経平均が25,000円を回復しており、ドル円を見る際は日経平均の動向にも注目する必要があります。こちらもご注意ください。(事務局)

利用したインディケーターの詳細記事は下記をどうぞ
Monthly Sweet Bandならエントリーしてはいけない場所が分かる、トレードに月単位での値位置の視点を

コメント

タイトルとURLをコピーしました