ユーロドルは横ばいながら1.2000ドル到達が天井か?ファンダメンタル的には弱含む可能性が(2020年10月19日)

市況解説

9月1日の1.2000ドル到達で天井を付けたユーロドルは、若干下落したものの横ばいの推移を見せています。

ファンダメンタル的には売られ易い地合いのユーロドルは下落に進むことになるのか、今後の値動きの方向が注目されます。

横ばいの推移が続くユーロドル

ユーロドルが横ばいの推移を続けています。ユーロドルは9月1日の1.2000ドル到達が天井となり反落し、9月25日に1.1612ドルまで下落しました。


・ユーロドル日足チャートにMonthly Sweet Band
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7月の上昇トレンドと8月の緩やかな上昇で2カ月続けて上昇したユーロドルは、9月以降下落したものの下落幅としては限定的な状態です。1.1612ドルはフィボナッチ・リトレースメント23.6%を若干割れた程度であり、3割戻しの水準には更なる下落が必要となります。


・ユーロドル日足チャートにMonthly Sweet Bandとフィボナッチ・リトレースメント

よって現状のユーロドルは1.2000ドル到達後、若干下落した水準でほぼ横ばいに推移している状態です。

ドルインデックスは反転

ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスは、ユーロ成分が最も多いためユーロドルの値動きに大きな影響を与えます。

ドルインデックスは9月1日に底打ちした後、ユーロドルと同様に横ばいで推移しています。フィボナッチ・リトレースメントを引くと、9月23日にリトレースメント23.6%のタッチがなされた後で反落しました。ただし反落したものの安値の更新はなされておらず、Wボトムパターンで上昇する可能性のある状態です。


・ドルインデックス日足チャートにMonthly Sweet Bandとフィボナッチ・リトレースメント

今後リトレースメント38.2%に向けた上昇が開始されれば、逆相関の値動きを見せるユーロドルは下落することになります。

ファンダメンタル的には売り要因が多いユーロ

ユーロドルは1.2000ドルという節目価格到達で天井を打った形です。またチャートを離れてファンダメンタル要因を見ると、ユーロは売り要因が多く存在します。

①ECB関係者からのユーロ高牽制発言
②新型コロナウイルスの感染再拡大
③イギリスの合意無き離脱=ハードブレグジットの可能性

まず①ECB関係者からのユーロ高牽制発言について、ユーロドルが1.2000ドルに近付くにつれてECB関係者からのユーロ高に対する牽制発言がメディアなどで出るようになりました。1.2000ドル到達で天井を打った後も引き続き同様の発言がECB関係者から出ており、現在のユーロドル水準でもまだ高い、というのがECBの共通認識と予想されます。

また②新型コロナウイルスの感染再拡大については、フランスのパリで夜間の飲食店の営業禁止、スペインの一部地域でロックダウンの再開、イタリアでの感染者数の急増など、ユーロ圏では新型コロナウイルスの感染者数の再拡大が猛威を振るっています。ロックダウンや飲食店の営業停止などは経済に対し大きな影響を与えるため、ドイツの早期の景気回復とコロナ復興債の設立により買われたユーロは、今後弱含みで推移しやすい地合いにあります。

また③イギリスの合意無き離脱=ハードブレグジットの可能性は、10月15~16日というイギリス側が設定した交渉期限は一旦月末まで延期となりましたが、通商協議自体は殆ど進んでいない状態です。ハードブレグジットはイギリス側の影響が注目されますが、ユーロ側にも負の影響が生じるため、ハードブレグジットの可能性の高まりとともにポンドのみならずユーロも売られる可能性があります。

節目価格かつ3割戻し水準のユーロドル1.1500ドルへの下落となるかに注目

ファンダメンタル的には売られ易い地合いにあるユーロドルですが、1.2000ドル到達で天井を打って以降は横ばいで推移しています。ただしフィボナッチ・リトレースメント23.6%にはタッチしており、今後は3割戻しの水準の38.2%まで下落するのか、という点が注目されます。

3割戻しの水準は節目価格となる1.1500ドルにも近いため、下落する場合の目標値は1.1500ドルとなります。


・ユーロドル日足チャートにMonthly Sweet Bandとフィボナッチ・リトレースメント

横ばいの推移が1カ月以上続くユーロドルですが、新たな値動きが生じてもおかしくないタイミングです。ファンダメンタル要因に基づき下落の方向に進み始めることになるのか、それともECBのユーロ高の懸念に関係なく再度上昇に向けた値動きを見せるのか、ユーロドルの次の値動きの方向性が注目されます。(事務局)

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