1月12日の週の為替市場、USD/JPYがイランによる米軍攻撃後に節目の109円台半ばにまで上昇

市況解説

2020年最初の2週間は、続けて地政学リスクに影響されスタートしました。先週はイランが米軍基地にミサイル攻撃を実行。しかし米軍に被害はなく、またトランプ大統領も演説で反撃を否定。その結果、リスク回避で買われていた資産が売られることに。特に売られたのがJPYであり、USD/JPYは109円台半ばにまで上昇しました。

昨年秋から続くサポート&レジスタンスに到達したUSD/JPYが、今週どのような値動きを見せるのか注目されます。

先週の振り返り、USD/JPYが109円を回復

米軍によるイラン軍司令官の殺害から始まった2020年ですが、先週は1月8日(水)にイランがイラクの米軍基地に対するミサイル攻撃を実行。ミサイル攻撃が報じられると金融市場は急激にリスクオフに傾き、リスク回避資産の金、JPY、CHFが買われました。

しかしイランによる攻撃は米軍に被害はなく、トランプ大統領も反撃の意思がないことを演説で明確にした結果、リスクオフに傾いた流れが急速にリスクオンに巻き返すことに。特に振り回された通貨ペアがUSD/JPYであり、イランの攻撃報道を受け107円台半ばまで下落したものの、その後は急回復するのみならずそのまま上昇を続け、最終的には109.5円台で週の取引を終えました。USD/JPYの急反転に振り回された投資家も多かったようです。


・USD/JPY4時間足チャート

通貨強弱の観点で見るとイランのミサイル攻撃のあった8日はJPYとCHFが買われました。しかしその後は継続的にJPYが売られる流れが続き、最終的に先週JPYはほぼ単独で売られた、という結果に終わっています。


・1月5日の週の通貨強弱(Indexes_v7Lを利用)

また10日(金)は米雇用統計の発表がありましたが、イランを巡る乱高下があり、雇用統計発表後の値動きはあまり発生せずに通過することになりました。

今週の為替市場、USD/JPYの行方に注目

今週は雇用統計明けの週となるため、大型の指標発表は予定されていません。しかしアメリカとイランの対立状況に具体的変化は生じておらず、引き続き両国の関係が注目されます。

ただし両国の関係は米軍基地のイランによるミサイル攻撃で一旦具体的な動きはストップする可能性もあり、その場合は15日(水)に第一弾の調印式が予定されている米中貿易交渉に市場の注目が集まる可能性もあります。

昨年秋以降のサポート&レジスタンスに到達したUSD/JPY

先週急反転したUSD/JPYですが、先週末の値位置109円台半ばの水準は、昨年秋から続くサポート&レジスタンスの水準です。昨年11月以降4回目の到達であり、更に上昇するのかそれとも反転するのか、重要な値位置にあります。


・USD/JPY日足チャートにMonthly Sweet Band

USD/JPYにMonthly Sweet Bandに重ねると、先週は見事に3つのMonthly Sweet Band内の値動きに留まっており、現在は頭をMonthly Sweet Bandに抑えられている状態です。

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ただしドルインデックスを見ると、昨年からの2本のサポレジの間に位置しており、ドルインデックスから方向性を占うのは難しい状態にあります。


・ドルインデックス日足チャート

一方でUSD/JPYに影響を与える日経平均は24,000円目前の水準ながら、昨年の24,000円水準を超えて上昇するには至っていません。


・日経平均日足チャート

日経平均次第の面はあるものの、USD/JPYの上昇もひと段落する可能性があります。いずれにしてもイランの米軍攻撃後の反転は、同じリスク回避資産の金(XAU/USD)やCHF(USD/CHF)と比べてもUSD/JPYは行き過ぎの面があり、安直にUSD/JPYが上昇を続けると考えるのはリスクが高いといえます。


・金及びUSD/CHF日足チャート(USD/JPY程の急反転は生じていない)

まとめ

2020年は最初の週から、2週間続けて地政学リスクで市場が荒れる展開となりました。ボラティリティの回復はありますが、USD/JPYを代表に簡単に乗れる値動きではなく、2020年は投資家にとって悩ましいスタートとなっています。

アメリカとイランの対立は、イランによるミサイル攻撃で一旦ガス抜きがなされた可能性もありますが、引き続き状況を見守る必要があります。

2週間続いた乱高下を受けて、為替市場は一旦凪の状態となるのでしょうか?それでもUSD/JPYは109円台半ばという注目すべき値位置にあります。他のリスク回避資産に比べると行き過ぎた感のあるUSD/JPYの行方が注目されます。(事務局)

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