先週のUSD/JPYは一気に上昇し、112円台に到達。USD/JPYは値幅としては約200pipsの上昇であり、久しくない値幅での上昇となりました。
先週のUSD/JPYの上昇とその後の下落について、Monthly Sweet Band及びRCIの観点から振り返ることで、テクニカル指標の良さと弱点を認識することができます。
急騰したUSD/JPYは112円に到達
長らく膠着状態が続いたUSD/JPYが急騰。2月に入り110円前後で小動きを続けたUSD/JPYですが2月19日(水)より上昇を開始し20日(木)には112円に到達しました。
足元のUSD/JPYは1日の値幅が20-30pipsの日が続きましたが、19日は170pips、20日は110pipsを超える値幅で上昇を見せました。
また過去はリスク回避時の円買いのパターンが殆どでしたが、新型肺炎問題に関しては日本国内での感染者数増加により中国と同様に当事者国と見なされ、逆にリスク回避で円売りが進んでいる、とも報じられています。
ただし円売りに関係なくドルは買われました。ドルインデックスから見ると、2月は112円到達まで日足の陰線を形成したのは2日であり、USD/JPYの上昇はドル買いの背景が高い状態にあります。
しかし新型肺炎問題を契機に為替市場はこれまでの値動きの無い状態から、ボラティリティを取り戻しつつあると考えることができます。
Monthly Sweet Bandで反転したUSD/JPY
今回のUSD/JPYの上昇をMonthly Sweet Bandの観点から眺めてみます。
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先週は取引を終了した時点で、USD/JPYは2月のMonthly Sweet Bandの中にレートがある状態でした。その後19日にMonthly Sweet Bandを上に抜け、以後は上昇が継続。下記は1時間足チャートですが、19日はMonthly Sweet Bandを上に抜けた後、13本=13時間連続で陽線を形成しています。
13本目で上方のMonthly Sweet Bandにタッチし反落したもののその後再び上昇。20日に入り11本連続で陽線=上昇し112円に到達しました。そしてその後反落して週の取引を終えています。
急騰した先週のUSD/JPYですがMonthly Sweet Bandから見ると、Monthly Sweet Bandの下の段から上の段にレートが移動して最後は反落した、と簡略化してとらえることができます。
112円の反転、RCIは機能せず
これまでMonthly Sweet Bandとセットで見ていたRCIですが、今回のUSD/JPYの112円での反転はRCIでとらえることは難しいといわざるを得ません。
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4時間足、日足ともに112円での反転をとらえることができていません。
万能なテクニカル指標はありませんが、RCIも同様です。今回110円から112円に到達する上昇トレンドの中でもRCIは有効なサインを出しておらず、USD/JPYの今回の値動きはRCI的に苦手とする値動きだったといえます。
まとめ
久しくないUSD/JPYの急騰に、大きな損失計上を余儀なくされた投資家も少なからずいたようです。ただし急騰といっても値幅としては200pips程度であり、値幅自体は驚く数字ではありません。Monthly Sweet Bandも単に下のバンドから上のバンドにレートが移動しただけであり、冷静に見ればそれほど大きなイベントではありません。
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ただし今回のUSD/JPYの値動きはRCIを利用の場合、上昇と下落のいずれも波に乗れない結果となりました。Monthly Sweet Bandは確かに機能しましたが、テクニカル指標利用の良さと弱点を再認識できます。
相場状況に応じて利用するテクニカルを変える、という選択肢もありますが、できない部分は無理しない、と考えて無理にエントリーしないことも有効な選択肢です。
USD/JPYの上下に乗り切れなかったRCIは、テクニカルの限界とともに無理にエントリーする必要はない、ということも同時に示しています。USD/JPYの112円に至る上昇及びその後の下落からは、学ぶべきことが多いのではないでしょうか。(事務局)
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