ドル円はフィボナッチ・リトレースメント88.6%のある110円台半ば到達後に反落し、先週は下落が続きました。
これまでドルの上昇を牽引した米長期金利も横ばいで推移する中、ドル円の次の方向性が注目されます。
先週の振り返り、フィボナッチ・リトレースメント88.6%が効いたドル円
上昇が続いたドル円は、3月31日にコロナショック後の高値と昨年安値の間に引いたフィボナッチ・リトレースメントの88.6%に到達。4月2日(金)の時点で若干下落を始めていたものの、まだ上昇余地を残した状態で先週は取引がスタートしました。
その後、先週は週足で比較的長い陰線を形成して下落することに。5営業日のうち3営業日が比較的長い陰線となり、フィボナッチ・リトレースメントが効果を発揮した週となりました。
ドルインデックスはフィボナッチ・リトレースメント76.4%で反落
ドル円の値動きに影響を与えるドルの他の通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%タッチ後に下落する形となりました。ドル円の下落は、ドルインデックスのリトレースメント76.4%到達後の下落に連動しています。
ただしドルインデックスはリトレースメント88.6%まで再上昇する可能性も残しています。よってドルインデックスの観点ではドル円は先週の下落の後、再度上昇を開始する可能性もあります。
・ドルインデックス日足チャートにフィボナッチ・リトレースメント
ドル高を牽引した米長期金利の上昇が一服
2月以降のドル高は米長期金利の上昇を背景としています。米10年債金利で見ると、コロナショック後に0.6%を割れていましたが、昨年秋頃より上昇を開始して2021年2月以降に上昇が加速しています。
コロナショック後0.6%台にあった米10年債金利は3月に入り1.7%台を回復しており、その後は1.7%台を前後する展開が続きました。しかし4月に入り上昇は一服して若干下落傾向にあり、4月9日(金)は1.6%台で取引を終了しています。
ドルの値動きは米長期金利の影響を強く受けます。米10年債金利が3月半ば以降1.6%~1.7%台後半のレンジを形成する現在の状態の中では、今後ドル円の値動きも鈍くなる可能性があります。
尚、米長期金利は金融緩和縮小(テーパリング)のタイミングと米インフラ投資の財源として国債の増発も予想されるため、それらを市場がどのように織り込むかで今後の方向性が見えてくると考えられます。
日足のRCIは依然として中期線と長期線が天井にはりつき
ドル円の日足チャートをRCIで見ると、中期線と長期線が天井にはりついた状態が継続する一方で、短期RCIは下落しています。よってRCIの観点ではまだ上昇余地があります。
・ドル円日足チャートにRCIとMonthly Sweet Band
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チャートには同時にMonthly SweeBand(MSB)も表示させていますが、109~110円台半ばのMBSの上にあるMSBは113円台にありフィボナッチ・リトレースメントの起点となる111円台後半の更に上にあるため、さすがに次のMSBまで一気に急騰する可能性は低いと考えられます。
ドル円の上昇は一旦終了か?、分からない時は手出ししない勇気も必要
米長期金利の上昇が一服して次の方向感が出ない中、ドル円はフィボナッチ・リトレースメント88.6%到達で一旦値動きのゴールに到達した状態です。
今後の値動きは米長期金利の値動き待ち、という状態です。これまでロングすれば殆ど利益が出ていたドル円ですが、この先は難しい相場展開となる可能性があります。
ただし個人投資家の利点はトレードをし続ける必要がない点にあります。ドル円よりも値動きが分かりやすい通貨ペアのトレードを行う、トレードを一旦休みとするという選択肢もあります。
ドル円は次の値動きが上下どちらになるか、次の値動きを予想するためにも米長期金利の行方が注目されます。(事務局)
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