9月のドル円は月足の200EMAを下回って取引を終了。2016年11月から200EMAの上方で続いたレートが、遂に下回ることになりました。
トランプ大統領の新型コロナウイルス感染、という波乱のスタートとなった2020年10月、足元では静かな円高が進んでいます。
9月のドル/円は200EMAを下回る水準で取引を終了
2016年11月以降のドル円は月足チャートで見ると200EMAを上回る水準での取引が続きました。
しかし菅内閣発足後9月のドル円の月足は200EMAを下回る水準での取引がなされて、最終的には200EMAを下回り取引を終えました。また7月から月足は3ヵ月続けて陰線が続き、ドル円は徐々に下落圧力が強まっています。
安部内閣の後半は、月足で200EMAを上回る水準での取引が続いたドル円でしたが、菅内閣発足の2020年9月に200EMAを下回る水準で取引を終えました。菅内閣の間は200EMAを下回る時代に転じるのか注目されます。
小動きの展開が続くドル/円
月足ベースでは200EMAを下回り変化が感じられるドル円ですが、値動きとしてはレンジで小動きの展開が継続しています。7月以来104~107円の約3円幅の取引が継続しており、ドル円自体に強いトレンドは発生していません。
特に7月はドルインデックスが明確な下落トレンドを示したにもかかわらずドル/円はレンジが続いており、ドルと円が相関する値動きが続いた結果としてドル円のレンジが継続していると考えられます。
ただしその中でもドル/円は月足で7月以降3カ月陰線となり、静かな円高が進みつつあります。
対ドル以外では円買いが続いている
ドル/円はレンジの展開が続いていますが、他のクロス円通貨ペアの状態を合わせて確認してみます。
ドル/円を除くクロス円の通貨ペアを見ると、ドル/円以外のクロス円通貨ペアでは円高が進みつつある状態が分かります。ドルとともに円も買われていることからドル/円の値動きはあまり生じていませんが、為替市場ではドル高とともに円高も進んでいる状態です。
多くのクロス円通貨ペアは9月1日が天井となり、9月半ば過ぎまでは下落が継続しています。ただし9月下旬から反発しており足元では戻しの値動きが生じています。
現在の上昇が戻しに留まるのか、それとも再度上昇トレンド入りすることになるのか、今後の値動きが注目されます。
ドル/円の行方を占うには各クロス円の監視が必要
ドル/円の行方を占う際はドルインデックスの監視が有効に機能するケースが多くなります。ただし現在はドルと円が同じような値動きを見せており、ドルインデックスの値動きを見守るだけでは不十分です。
よって10月以降のドル円の行方を考える上ではドルインデックスに加えて、各クロス円通貨ペアの監視が必要です。一旦戻しの上昇を見せている各クロス円通貨が今後反落し再度下落に転じるなら、ドル/円は今後も徐々に下落する可能性が高いといえます。
一方でクロス円通貨の現在の上昇が戻しに留まらず上昇トレンドにまで至れば、今後ドル/円も上昇し月足の200EMAを上回る展開に戻る可能性もあります。
11月の米大統領選挙を前に、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し10月以降の為替市場では波乱が予期されます。ドルと円が同じ方向で動きドル円は小動きの展開が続いていますが、ドル/円は小動きのまま他の通貨ペアでは思わぬ値動きが生じる可能性もあります。
10月以降はドル/円のみならず、豪ドル円やユーロ円など他のクロス円通貨ペアの監視も重要となるのではないでしょうか。(事務局)
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