11月10日の週の為替市場、ドルの上昇を背景とするリスクオン相場の継続なるか?

市況解説

10月の動かない相場から一転、11月は第1週からドルの上昇を契機とするリスクオン相場がスタートしました。

ドルインデックスが5連騰し、また金が急落するなどリスクオンが急速に進みましたが、今週は一旦戻しを入れる可能性もあります。

リスクオンを呼び込んだ米中貿易交渉の行方とともに、リスクオン相場の継続性が注目されます。

先週の為替市場振り返り、リスクオンに

為替市場では大きなイベントのない先週でしたが、金融市場全体で見るとリスクオンが急速に進む一週間となりました。

米国株式市場ではダウ平均など主要指数が史上最高値を更新、また日本市場では日経平均が連日年初来高値を更新しており、これまでのサポート&レジスタンスである23,000円を完全に突破しました。


・ダウ平均CFD(週足チャート)


・日経平均CFD(週足チャート)

またリスクオンの流れの中で金価格が急落、これまでサポートされていた1,470ドル台を下に抜け、9月来の安値を更新しました。また金と並ぶリスク指標であるVIX指数も下落し、ほぼ8月の安値水準に並びました。


・金(XAU/USD)の日足チャート

今回の株式市場の上昇は、トランプ相場の初期の頃と同様、株価の上昇とドルの上昇がセットで進んでおり、ドルインデックスは先週全ての営業日で上昇しました。


・ドルインデックス(日足チャート)

また原油価格(WTI)も上昇し57ドルを回復しました。ただし原油価格は先週58ドル到達に2度も迫りながら、2度とも反落しています。10月末の53ドル台から急速な上昇に一旦ブレーキが利いた形となりました。


・原油価格(WTI)の1時間足チャート

今週の為替市場

今週の為替市場のイベントは13日(水)~14日(木)にFRBパウエル議長の議会証言が予定されています。また11日(月)の米国はベテランズデーであり、実質的な休日です(株式市場はオープン)。

今週は先週一気にリスクオンに傾いた金融市場が、そのままリスクオンの状態を維持するのか、それとも反転するのかという点が注目されます。

先週5営業日続けて上昇したドルインデックスは、フィボナッチ・リトレースメント50%の水準にあり、一旦反転しやすい値位置にあります。


・ドルインデックス(日足チャート)

また先週大きな下落を見せた金もフィボナッチ・エクステンション128.2%にタッチしており、一旦反発の可能性が生じています。


・金(XAU/USD)の日足チャート

先週半ばより急速にリスクオンに傾いた金融市場ですが、ドルインデックスと金の状態から、さすがに一旦戻しを入れる可能性が生じています。また先に説明した原油価格は58ドル到達前に反転しています。

米中貿易交渉のヘッドラインに左右される金融市場

先週のリスクオンの流れは、米中貿易交渉について合意が近い、という報道及び中国側の発表に端を発しています。夏以降、米中貿易交渉のヘッドラインに金融市場は大きく左右される状態が続いています。先週は貿易交渉合意間近、という報道に金融市場がリスクオンで応じた形となりました。

しかし中国政府から肯定的な発表はありましたが、トランプ大統領はまだ合意に至っていない、とコメントしています。米中貿易交渉については、まだ合意に至っていないという事実認識が必要です。

今週以降、実際に米中側で合意が発表される可能性もありますが、逆に合意に至らず、とのヘッドラインが流れる可能性もあります。いずれにしても、米中貿易交渉を巡る報道には充分な注意が必要です。

先週のリスクオン相場は、ドルインデックスが5連騰しているように、ドルが牽引している面が強く、今週は米中貿易交渉の行方とともにドルインデックスの方向が注目されます。

まとめ

金融市場全体に値動きが少ない10月でしたが、11月は一転して第1週から値動きが生じることになりました。株高、ドル高、原油高の反面、金安、VIX指数安という典型的なリスクオン相場の状況に入りましたが、一旦戻しを入れるタイミングの商品も現れています。

米中貿易交渉の合意に対する期待感が呼び込んだリスクオン相場ですが、期待感はいずれ事実が明らかになり現実の姿が現します。

米中貿易交渉がどのような形で着地するのか、また着地の後に金融市場がどのような値動きを見せるのか、今週も米中貿易交渉の状況を注視した上での取引が必要となるのではないでしょうか。(事務局)

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