株安ドル高が到来か?ドル円は106円を上方ブレイクへ(2021年3月1日)

市況解説

2月の金融市場は最後に株式市場の急落に見舞われました。しかし為替市場は比較的落ち着きを見せています。

その中でドル円は106円を上方ブレイクしており、今後は108円や110円が意識される展開が予想されます。2月末の株式市場の急落を受けて、3月の為替市場そしてドル円がどのような値動きを見せるのか注目されます。

2月26日に日経平均が▲1,202円安の一方でドル円は上昇

先週は2月最終営業日の26日(金)に日経平均が急落、▲1,202円安となり30,000円を割れました。米国市場も急落しており、2月最後に株式市場は急落を見せています。

一方の為替市場では、26日にドル円は上昇して106円を上方ブレイク。25日(木)の時点で106円を回復しており、反落せずにそのまま上昇が続きました。これまで株安時のドル円は下落(円高)に進むことが多かったのですが、今回は上昇で進み始めています。

またドル円は月足で見ると2月は1月に続き陽線を形成しており、200EMAも突破しました。2016年以来、ドル円の月足は200EMAに絡むような値動きを見せている中で、3月は更に上昇して200EMAから離れる値動きを見せるのか、200EMAタッチで反落するか注目されます。


・ドル円月足チャート

米長期金利の上昇に対し遅れて上昇を始めたドルインデックス

2月半ば以降、米長期金利の急ピッチな上昇が話題となることが多くなりました。先週も米長期金利は上昇しており、米10年債は一時1.6%台まで上昇しました。26日は下落して米10年債金利は1.4%台で取引を終えましたが、先週も米長期金利は大きな上昇を見せています。


・米10年債金利の日足チャート(画像はTrading View)

米長期金利に相関する値動きを見せることの多いドルインデックスは、2月半ば以降レンジが続いており、米長期金利と連動しない値動きが続いていました。しかし26日の株価急落及び米長期金利の下落に反応するように、上昇を始めています。26日のドル円の上昇は、ドルインデックスの大幅高に背中を押されての上昇となりました。


・ドルインデックスの日足チャートにMonthly Sweet Band
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ドル円は戻り高値でフィボナッチ・リトレースメント38.2%を突破

3月に入るため改めてドル円の現在位置の確認をしてみます。ドル円はコロナショック後の戻り高値111.71円と、2021年1月6日の安値102.59円の間で引いた、フィボナッチ・リトレースメントの38.2%を抜けた値位置にあります。2月17日にリトレースメント38.2%にタッチした後に一旦反落しましたが、26日の上昇で38.2%を超えました。


・ドル円日足チャート

フィボナッチ的には38.2%を超えた後の予想は難しい面がありますが(セオリー通りの値動きが少ない)、このまま上昇が続く場合はリトレースメント61.8%付近の108円、76.4~88.6%の間にある110円が目標値とされる展開が予想されます。

リトレースメント38.2%からの反落は大きくなるケースもありますが、今回は比較的小幅な反落で済んでおり、足元は上昇トレンドが続く可能性が高いといえます。

RCIも上昇継続を示唆

ドル円は日足で見るとRCIも上昇に向けたパターンを描いています。RCIは長期線が既に天井に張り付く一方で、中期線は上昇が継続中です。また短期線は先週上昇に転じておりRCIの3本線はいずれも上昇しています。フィボナッチ、テクニカルの観点では、ドル円はもう一段上昇する可能性を示唆しています。


・ドル円の日足にRCIとMonthly Sweet Band
関連記事:RCIの見方、短期・中期・長期のRCIを表示して利用する方法について

2月の金融市場は最後の最後に株式市場で変調が生じることとなりました、ただし株式市場に比べ為替市場の値動きはまだ落ち着いています。3月相場は株式市場の動揺が為替市場にも影響を与えることになるのか、各市場の方向性に加えてボラティリティという観点でも注目されます。(事務局)

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