EUとイギリスの通商協議が難航しポンド売り進む、ポンド/円は9月既に5円以上の下落を見せる(2020年9月14日)

市況解説

EUとイギリスの通商協議が難航しており、9月第2週のポンドは売られる展開で、ポンド/円も急落しました。既に9月に入り5円以上の下落を見せているポンド/円ですが、EUとイギリスの通商協議の難航というファンダメンタル要因に変化はなく、9月後半も下落する可能性が高い状態にあります。

一筋縄ではいかないポンド/円の取引ですが、少なくともファンダメンタル的には売りの状態にあります。今後のポンド/円の取引もEUとイギリスの通商協議を充分踏まえた上での取引が求められます。

1週間で5円以上の下落を見せたポンド/円

9月第2週のポンド/円は大幅下落を見せ、9日(水)以外は全て陰線を形成して下落しました。


・ポンド/円の日足チャートにMonthly Sweet Band
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為替市場全体では値動きが静かな9月第2週でしたが、ポンド/円、ポンド/ドル、ユーロ/ポンドなどポンド絡みの通貨ペアは週を通じてポンド売りの1週間となりました。

ポンド/円は1週間で5円を超える下落を見せており、まさに“急落した”といえる状態です。

Montly Sweet Band内の下落を見せるポンド/円

9月をMontly Sweet Band(MSB)内でスタートしたポンド/円ですが、9月第2週はMSB1つを下抜けして、2つ下のMSBにタッチして下落が止まった形となりました。

ポンド/円は月間の値動きが6円前後となる月が多い中で、9月は前半で既に約7円の値動きを見せています。現在の135円付近に存在するMSBで下落が止まるのか、それとももう一段の下落を見せ132円付近に存在するMSBまで下落するのか、9月後半のポンド/円の値動きが注目されます。

EUとイギリスの通商交渉が難航、ハードブレグジットへの懸念高まる

既にEU離脱を決定しているイギリスですが、先週からEUとの通商協議の交渉が本格化しています。これまで何の進展もなくEUとの通商協議は進んでいましたが、最終段階の今回の協議でも殆ど進展はありません。進展がないどころか、イギリス側がこれまでのEUとの合意事項を変更する国内法の検討を開始しており、EU側が猛反発する事態まで生じています。

今回の交渉がまとまらなければ、12月のハードブレグジット(合意無き離脱)が確定するため、現在のポンド/円などポンドの下落は、イギリスのハードブレグジットへの懸念から生じています。

交渉の当事者同時の通貨ペアであるユーロ/ポンドを見ると先週急騰しており、為替市場はハードブレグジットへの懸念を受けてユーロ買い・ポンド売りで反応しています。

ただしユーロ/ドルはほぼ横ばいの推移を見せているため、ユーロ自体の買いはそれほど進んでおらず、ユーロとポンドのコップの中の争いの中でユーロが買われている状態です。


・ユーロ/ポンド日足チャート
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9月後半もポンドが売られる展開が継続か?

ハードブレグジットを回避するためのEUとイギリスの通商協議の期限は10月までといわれる中で、徐々に10月が迫りつつあります。

イギリス側の強硬姿勢はEU側の譲歩を引き出すため、とも一部では報じられていますが、市場はポンド売りで反応しています。その後もEUとの通商交渉の状態に変化はなく、ポンド売りを覆すほどのファンダメンタル的な変化は生じておりません。よって交渉の進展などのファンダメンタル的な変化が生じるまではポンド売りが続く可能性があります。

今後更にポンド/円の下落が続く場合、次の下落の目標値としてはMSBが存在する132円付近が候補となります。


・ポンド/円日足チャート


・ユーロ/ドル日足チャート
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まとめ

イギリスとEUの通商交渉が難航しておりポンドが売られている、というのはファンダメンタル的には非常に分かりやすい構図です。特にユーロ/ポンドはファンダメンタルの状況を受けて、そのままロングすれば大きな値幅が取れています。

一筋縄ではいかないポンド/円を始めとするポンド系通貨ですが、足元の状態はファンダメンタル的な悪材料に素直に反応してポンドが下落している状態です。9月後半戦もポンド/円を取引する際は、イギリスとEUの通商協議の状態を意識しながらの取引が求められます。ご注意ください。(事務局)

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