為替市場や株式市場では、トレンド相場・レンジ相場、というとらえ方で相場状態を把握するケースが多いといえます。しかし為替市場を見る際は、“スクイーズ”と“イクスパンション”という見方も持つことで、新しい視点を得ることができます。
相場分析における“スクイーズ”と“イクスパンション”という視点について、ボリンジャーバンドを利用して解説いたします。
レンジとトレンドではなくスクイーズとイクスパンション
為替市場や株式市場について語られる際に“レンジ相場”・“トレンド相場”といった表現が多く使われます。レンジ相場=一定の狭い値幅を上下する相場、トレンド相場=一定の方向に進み続けている相場、と理解されています。
しかし近年の為替市場は小動きの時間が長く、動く時は一気に動くという傾向にあります。尚、背景には為替取引におけるコンピューターの影響力が増大している点が指摘されています。
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よって相場状況をとらえる際にレンジとトレンドの視点に加えて、スクイーズ(停滞)とイクスパンション(爆発)という視点を持つことが、より正確な相場状況の把握につながります。またその際は、スクイーズの後にイクスパンションが来る、と考えるのがセオリーとなります。
ボリンジャーバンドの本来の利用方法はスクイーズとイクスパンションの把握
相場をスクイーズとイクスパンションに分類する方法は、実は特別な考え方ではありません。多くのトレーダーが愛用しているボリンジャーバンドも、本来の使い方はスクイーズとイクスパンション把握のために開発されたツールです。
現在のボリンジャーバンドは本来の使い方と異なり、逆張り指標として利用されるケースが多くなっています。しかし本来的には市場をスクイーズとイクスパンションに分け、イクスパンションをとらえるためのツールとして開発された経緯があります。
ボリンジャーバンドのバンドが拡大を始めるとイクスパンションを表します。一方で拡大していたバンドが狭い値幅で横向きの状態がスクイーズです。よって“スクイーズ状態の通貨ペアを探して、次のイクスパンションの初動でのエントリーを狙う”という使い方ができます。
尚、イクスパンションが始まりボリンジャーバンドのラインの拡大が始まった後、トレンドと逆側のラインが逆方向に曲がり始めたタイミングがイクスパンションの終着点、と考えることができます。
ただしイクスパンションの方向の事前予想は難しい
トレンド相場はトレンドの初動をとらえるのは難しくとも、初動を確認した後にエントリーすることでトレンド相場に乗りやすくなります。
一方でイクスパンションは、相場が上下どちらに進むのか事前予想が難しいといえます。ボリンジャーバンドはスクイーズとイクスパンションをとらえるためのツールとなりますが、ボリンジャーバンド自体にイクスパンションの方向を予想する機能はありません。
よってマルチタイムフレーム分析や移動平均線等の方法を用いて、イクスパンション時に進む相場の方向を別途予想する必要があります。
スクイーズとイクスパンションで相場をとらえる際は、大枠で相場が上下どちらに向かっているのか正しく認識をした上での利用が必要です。
またスクイーズの期間もレンジ相場の期間と同様、予想できない点も注意する必要があります。
まとめ
相場が走る時に一気に動く傾向のある為替市場では、スクイーズとイクスパンションという相場の考え方が特に役立ちます。
レンジとトレンドというとらえ方を捨てる必要はありませんが、相場状況を把握する際にスクイーズとイクスパンションという考え方も持つことで、新しい視点を得ることもできます。
スクイーズ相場の後はイクスパンション相場がやってくる、チャートを見る際はそんな視点でもご覧になってはいかがでしょうか?トレードの新しいアイディアを得ることができますよ。(事務局)
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