豪ドル円は90円目指すか?上方ブレイクしつつあるも注意が必要(2021年5月10日)

市況解説

豪ドル円が5月7日の上昇により3月来の高値を更新しました。これまで85円付近を天井とするレンジが続いており、今後上昇が加速する可能性があります。

銅価格などファンダメンタル的には上昇に向かう可能性が高い豪ドルですが、日米金利差や豪ドルインデックスを見ると強気一色にはなれないため、周辺市場に注意する必要があります。

85円の上方ブレイクを果たしつつある豪ドル円

豪ドル円は3月から85円付近が天井となり安値切り上げのレンジが続きましたが、5月7日(金)の上昇で終値ベースでの高値を更新。レンジ相場の上方ブレイクに向けて、一歩踏み出す形となりました。


・豪ドル円日足チャートにMonthly Sweet Band
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レンジ相場=スクイーズの後はイクスパンション=爆発が到来する相場サイクルから考えると、今後豪ドル円は3月からのレンジ相場で貯めたエネルギーを放出する可能性があります。

このまま上方ブレイクが加速して次の節目価格90円を目指すのか、7日の上方ブレイクはダマシとなり下落に転じるのか、次の豪ドル円の行方が注目されます。

2月高値を完全に上方ブレイクした銅価格

豪ドルは銅価格の値動きの影響を受けることで知られています。銅価格は2月まで長く上昇トレンドが続きましたが、3月に入り横ばいの値動きが続きました。しかし4月下旬から上昇を再開しており、2月の高値を完全に上方ブレイクしています。

4月後半以降の銅価格の上昇に比べれば豪ドル円の上昇は限定的であり、今後の上昇余地が残されています。


・銅日足チャート(画像はTrading View)

日豪の金利差は下落中

通貨ペアの値動きは各国の金利差の影響を受けます。豪ドルの値動きに影響を与える銅価格は2月高値を上方ブレイクしたものの、日豪の金利差(10年債金利)は徐々に下落に向かっています。

豪ドル円のレンジ相場は、銅価格の上昇と日豪金利差の下落傾向の綱引きの結果と考えることができます。尚、米豪金利差も日豪金利差と同様の推移を見せており、豪ドル米ドルも限定的な上昇に留まっています。


・豪日10年債の金利差の日足ラインチャート(画像はTrading View)

豪ドルインデックスのフィボナッチ・リトレースメント88.6%の攻防の行方が豪ドル円の鍵を握る

豪ドルの他通貨に対する強さを表す豪ドルインデックスを見ると、高値と安値に引いたフィボナッチ・リトレースメント88.6%の攻防の真っ最中にあることが分かります。


・豪ドルインデックス日足チャーチにフィボナッチ・リトレースメント(画像はTrading View)
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2021年に入り76.4~88.6%の間を上下している状態ですが、いずれ上下どちらかに抜けると予想されます。豪ドルの関連通貨ペアはトレンドが生じると長く同じトレンドが続く傾向にあるため、豪ドル円もトレンドが生じると長期間続く傾向があります。

最終的な豪ドル円の方向性を探るために、今後豪ドルインデックスのリトレースメント88.6%の攻防の行方が注目されます。

豪ドル円の上昇を示唆するRCI

日足のRCIベースで見ると既に豪ドル円は短期及び中期のRCIが上昇に転じています。長期RCIも横ばいで推移しており、上昇に転じる可能性が高まっています。


・豪ドル円日足チャートにRCIとMonthly Sweet Band
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よってRCIの観点では、豪ドル円は7日の上昇で短期RCIが完全に上方向に転じたため上昇を示唆する状態です。

ただし長期RCIがまだ完全に上昇に転じた訳ではないため、次の値動きを上昇と判断するのはリスクがあります。RCIの観点では上昇を示唆する状態にありますが、より確実性を求めるなら長期RCIの上昇確定を待つのがベターといえます。

周辺市場への注意が必要な豪ドル円

豪ドル円の値動きを探るヒントは銅価格、金利差、豪ドルインデックス、豪株価指数など多数存在します。銅価格のみを見れば、豪ドル円は今後上昇する可能性は高いと考えることができますが、金利差などからはまだ慎重な判断が求められる局面です。

新型コロナウイルス問題の押さえ込みに成功しつつあるオーストラリアは、米国や中国と同様に経済回復も急ピッチで進んでいます。ファンダメンタル的な要因からは銅価格の上昇もあり、豪ドル高の要素が多い状態です。

高値ブレイクをし始めている豪ドル円が高値ブレイク確定となり上昇トレンド入りするのか、金利差や豪ドルインデックスの側面からも探る必要があると考えられます。(事務局)

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