12月最終週の今週は、先週同様にドル円は静かな値動きが予想されます。しかし菅首相からドル円水準の100円に対する発言があり、為替市場では改めてドル円の節目価格100円が意識されています。
年末で流動性が低くなる中で、フラッシュクラッシュ的な大きな値動きの発生の可能性もあり注意が必要です。
静かな円高進むドル円
クリスマス週となった先週のドル円は大人しい値動きとなりました。ただし為替市場では英国とEU間の通商協議の合意によりハードブレグジット回避となり、ポンドの値動きが中心となる1週間となっています。
先週のドル円の値動きは少なかったものの、12月は円高が進行。月足は陰線を形成しており、今週大きな反転がなければ12月の月足の陰線が確定します。ドル円の月足は12月の陰線が確定すれば4ヶ月連続の陰線となり、9月から急落はないものの静かな円高が進んでいます。本年8月まで長く月足のローソク足は200EMAを上回る状態が続きましたが、年末にかけて200EMAを下回る動きが確定することになりました。
急落しているドルインデックス
ドル円の値動きに影響を与えるドルインデックスは11月と12月の2ヵ月は急落しており、11月と12月の月足は長い陰線となっています。
しかしドル売りのみならず円も売られていることで、ドル円は静かな値動きを見せています。
一方でドルインデックスの値動きに直接的な影響を受けるユーロドルは、11月と12月は上昇が進んでおり、節目価格の1.2000ドルを大幅に上回る水準での取引がなされています。既にECB関係者からユーロ高を懸念する口先介入がなされていますが、口先介入に影響されずユーロは上昇中です。
・ドルインデックス日足チャートにMonthly Sweet Band
関連記事:Monthly Sweet Bandならエントリーしてはいけない場所が分かる、トレードに月単位での値位置の視点を
ドルインデックスは反発の可能性がある値位置に到達
11月から下落が続いたドルインデックスですが、高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント88.6%に到達しており、反発する可能性があります。
・ドルインデックス週足チャートにフィボナッチ・リトレースメント
89.9ポイント付近がリトレースメント88.6%に該当しており、89.9ポイント付近で反発を見せるか、更に下落が進むか注目されます。更に下落した場合は、88ポイント台の安値に向けて下落することになります。
ただし89.9ポイント付近での反発が確認できれば、ジリジリと続いたドル円の下落も止まる可能性があります。
2021年の為替見通しについて、多くの機関投資家がドル安の予想をしており、ドルインデックスの下落が続けば機関投資家のドル安見通しが当たります。しかしフィボナッチ・リトレースメント88.6%で反発すると機関投資家のドル安予想が外れることになります。今後のドルインデックスのリトレースメント88.6%の攻防の行方が注目されます。
ドル円は短期的に100円が意識される可能性も
103円台にある現在のドル円ですが、静かに進む円高について菅首相から“100円が防衛ライン”という趣旨の発言がありました。本発言を受けて為替市場ではドル円の節目価格である100円が改めて認識されています。
年末年始で金融市場の流動性が低下するなか、100円割れを目指して仕掛け的な値動き=フラッシュクラッシュが生じる可能性もあります。2020年のドル円は3月のコロナショック時の101円台前半までの下落とその後の上昇を除くと、大きな値動きは生じていません。よって大きな値動きの発生に向けてタイミングが煮詰まりつつある、と考えることもできます。
2020年のドル円は3月のコロナショックを除くと、大きな値動きがなく1年が終わろうとしています。ただし静かな円高が進む中で100円という節目価格が意識されて始めており、年末年始の流動性が低下するタイミングで大きな値動きが生じる可能性があります。ご注意ください。(事務局)
利用したインディケーターの詳細記事は下記をどうぞ
・Monthly Sweet Bandならエントリーしてはいけない場所が分かる、トレードに月単位での値位置の視点を
コメント