11月17日の週の為替市場、USD/JPYが109円で頭を押さえられている

市況解説

米中貿易交渉に具体的な動きがなく、為替市場は様子見となりつつある中、先週はジワジワと米国株式市場が上昇を見せました。

そんな中でUSD/JPYは109円で頭を押さえられている状態です。

10月からボラティリティの低い状態が続きますが、今週から11月後半戦。値動きのエネルギーが蓄積されており、年末に向けて今後大きな値動きが生じる可能性があり注意が必要です。

先週の振り返り、AUDが下落

大きなイベントの無い先週は、引き続き米中貿易交渉の方向性が注目される中、前週から一転、交渉成立が危ぶまれるようなトランプ大統領の発言や報道が相次ぎました。しかし為替市場は基本的に交渉の結果待ちのスタンスであり、トランプ大統領の発言や報道のヘッドラインに大きな反応を見せず、小動きの1週間となりました。

通貨強弱の観点では先週大きく動いたのはAUD。14日(木)発表の豪雇用統計が市場予想を下回る結果となり、AUDは一気に下落しました。ただし14日の下落の後。15日には上昇し戻しを見せています。

尚、通常は相関した値動きを見せるAUDとNZDですが、先週は逆相関する値動きを見せることになりました。


・11月10日の週の通貨強弱(Indexes_v7Lを利用)

また株式市場ではダウ平均がジワジワした上昇を見せ、最後の15日(金)には+222ドル高と急騰。米中貿易交渉の結果待ちの状況ながら、株式市場は一足先に新しいステージに入りました。


・ダウ平均日足チャート

尚、米国市場より一足先に上昇を開始していた日経平均は、先週値動きが停滞。サポート&レジスタンスとなっていた23,000円の維持はできていますが、サポレジブレイクの後に値動きが止まった状態にあります。


・日経平均日足チャート

今週の為替市場

今週の為替市場のイベントは、ECBラガルド総裁がECB総裁として初の会見を22日(金)に行います。ドラギ前総裁はイタリア中央銀行総裁からECB総裁に転じましたが、ラガルド総裁はIMF前総裁とはいえ、政治家出身であり政治家出身の中央銀行総裁としての今後手綱さばきが試されます。

通貨ペアでは雇用統計で下落したAUDをAUD/USDで見ると、フィボナッチ61.8%まで戻しを入れています。


・AUD/USD1時間足チャート

再度下落に転じる場合、本61.8%レベルで反転するか、もう一段上昇し76.4%~77.6%まで上昇した後に戻すのかが注目されます。

109円で頭を抑えられているUSD/JPY

11月7日(木)と8日(金)に一時109円台を回復したUSD/JPYですが、先週は下落に転じ一時108円台前半にまで下落しました。(先週の終値は108.8円)

USD/JPYを日足チャートで見ると、本年6月以降109円台で頭を抑えられている様子が分かります。


・USD/JPY日足チャート

現状のUSD/JPYはペナントを形成中と考えることもでき、小幅な値動きです。しかしペナントブレイクの際は大きな値動きが予想され、上下どちらにブレイクするか注目されます。尚、USD/JPYにフィボナッチ・リトレースメントを引くと61.8%レベルで止まっています。ダウ理論の観点では、現在USD/JPYは安値を切り上げて上昇過程にあるため、フィボナッチ76.4%レベルの110円台半ばまでの上昇も可能性として存在しています。

ただしUSD/JPYに大きな影響を与えるドルインデックスが下落をしており、USD/JPYは足元では早期に上昇するという状態にはありません。


・ドルインデックス日足チャート

日経平均も23,000円到達後値動きが停滞しUSD/JPYに対する影響が限定される中、USD/JPYの方向性を探るために、ドルインデックスの値動きへの注意が必要です。

まとめ

米中貿易交渉に対するトランプ大統領他の発言や、報道のヘッドラインに市場が左右される状態が続いていますが、さすがに結果待ちの状態に入りつつあります。ただし今週も米中貿易交渉を巡る話題に市場は左右されると予想されます。

小動きの10月を経て動く可能性が指摘されていた11月ですが、引き続き小動きの展開が続いています。しかし今週から11月後半入りです。

12月が迫る中で値動きのエネルギーも蓄積されており、年末に向け一度動きが始まると、大きな動きとなる可能性があります。

突発的な値動きか、本当の意味でのトレンドとなる値動きとなるのか、各市場をフォローしながら値動きの性質をつかむ努力が今後必要とされるのではないでしょうか。(事務局)

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